20220620_いいとこどりになる過去
少し前になるが、NHKスペシャル「東京ブラックホール II 1964」という番組を見た。
東京ブラックホールⅡ 破壊と創造の1964年 - NHKスペシャル
番組中で明らかになる1964年の東京オリンピック前後の東京の市井の様子は、私が見聞きしてきたものよりも戦争の面影を色濃く残していて、先進国への仲間入りへの焦りと現実との乖離が痛々しく見えた。
特に心に残ったのは女子バレーをめぐる一場面だ。
戦国時代より近代史により興味がある。現代に一本道で通じてきていると感じられるからだ。明治維新の功績は大きい。
だから、大河ドラマ「いだてん」は面白く見ており、女子バレー選手を育成するなかで大松監督が選手の強化に一生懸命になる一方、選手の嫁入り先を心配していたこと、結婚適齢期が遅れるから、東京オリンピック参加には反対だったこと、そういう時代で行われた女子スポーツだったことは知っていた。
でも、東京ブラックホールで明らかにされたのは、実は女子バレーは正式種目として開催できるギリギリの6か国の参加しか集まっていなかったのに、直前で北朝鮮がボイコットしたため開催の危機となっていたところ、なんとか韓国に拝み倒して出場してもらったということだ。
当時、とても強かったのは本当だと思うけれど、こうした事実は日本女子バレーの栄光の歴史に水を差しかねない。このため、不都合な事実はいつの間にか人々の記憶から消し去られている。私はとても驚いた。歴史は曲げることはできないけれど、いいとこどりはできるんだってことに。
山積する国内問題の一方、海外ではウクライナ侵攻により、今、時代が動いているように思う。後の世になって、いいとこどりになっていたら、いやいや、あのときはね、って嫌な話をするおばあちゃんになっていたいと思う。